ブックタイトルぶらり能登2017

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概要

のと星山空港から始まる能登人と出会う旅をご案内します。

ものを聞いてからつくります」と十七波さん。 「焼き物はお若い頃からされていたの?」と希林さんが問うと、「ここに移ってからです。もう24年になりますね」と十七波さん。そして「私ね、40歳で離婚して、13歳の娘を連れて能登に来たの」。「ええっ、すごい大胆ね」。「それまでは、兵庫の芦屋で主人と会社中心の生活だったの。で、人生の後半はこれでいいのかなって考えはじめて、よし田舎に住むぞ、と。それで能登で焼き物をすることに決めたの」。「娘さんにも、父母のどっちかを選ばせたの?」。「ええ、決断は早かったですね」。「その娘さんが、今、写真を撮っている乃の波は木ぎさんなのね」。 希林さんは「人は2回ぐらい、生き方をかえてみるのもいいのかも。40歳は、ちょうど折り返し。そうすると前の人生も生きてくるのね」と、大きくうなずきます。 十七波さんは、「主人と暮らしている家にもご案内したいわ。能登で結婚して古い建物を大改造したの。自分にはリフォーム魂がすごくあって、昔のものも生まれ変わらせてあげたくて」。 小さな山を幾つも越えた感じで、家に到着。中に入ると、建具も含めてじょうずに活かされ、すっかり十七波さんの世界に、希林さんも得心。 「私も着物などを直して活かすのが大好きよ」と、希林さんが立ちあがる。その衣服は、男物の大島をワンピース風に仕立て直したものだという。「絹のものなどは軽くて温かいので、旅行カバンに入れてもかさばらないのね」。「素敵に生きかえっていますね」と十七波さんも大きくうなずく。「こうやって、いいものはちゃんとまた生きるのよね。ものの冥利がここにも感じられるのよ」。老舗和菓子屋と能登大納言 珠洲市飯田町で築100年の建物を今に活かし、和菓子屋「多だ間ま栄えい開かい堂どう」の三代目として暖簾をまもる、多間俊夫さん(64)と奥さんの淳子さん(63)を訪ねました。映画「あん」を見て感動したと話す淳子さんは、さっそく和菓子づくりの工房へ希林さんを案内しました。 「うちの餡は、能登大納言を使っています。ていねいに手でさやを取り、豆を天日干しにすると、味がよくなるんです」。希林さんは、「太鼓まんじゅう」と名付けられたどら焼きに興味をひかれ、その餡詰めを体験することにしました。そして、ご主人の使い慣れたヘラを借りて、4個を焼いてみます。 「きれいに焼くのは、すごく難しいですね。毎日の積み重ねでしょうね」と、あらためてご主人の手さ32中 十七波(なかとなみ)1992年柳田村(現能登町)に13歳の娘と移住し陶房「眠兎」を開く。自然をモチーフとした陶板や動物のオブジェ等独創的な作風で知られる。能登町字柳田在住。Web shop http://minne.com/tobo-minto